2019年2月に釣り具メーカー大手のシマノから発売された最高級ベイトリール「19アンタレスHG」をしばらく使用した感想。他のレビューでは語られない悪い点を中心に評価します。巻き感は最高で万能なリールですが、いくつかの小さな部分が残念な仕様になっています。
目次でサクッと理解
悪いところ
メカニカルブレーキのゼロ設定が出しにくい
19アンタレスはあまりにも作りが良く出来ているせいか、メカニカルブレーキを弱めてもスプールがカタカタしません。
メカニカルブレーキをかなり弱くしてやっと「カタカタしてるかな?」と気づけるくらいです。
そのため、いわゆるメカニカルブレーキの「ゼロ設定(ゼロポジション、ゼロセッティング)」を出すことが非常に困難になっています。(ゼロ設定とは、メカニカルブレーキが効いているか効いていないかくらいのブレーキ設定のこと)
というより、ゼロ設定を探し当てるのはまず無理です。結局のところ釣り場に行って重めのルアーをラインに繋げてから、いい感じにルアーがスルスル落ちるくらいにメカニカルブレーキを設定することになります。
メカニカルブレーキノブが浮く
19アンタレスのメカニカルブレーキを弱めていくとメカニカルブレーキノブが浮いて段差が大きくなっていきます。
メカニカルブレーキのゼロ設定を探しながらメカニカルブレーキを弱めたり強めたりしていると確認できるはずです。
メカニカルブレーキのゼロ設定が分からないとメカニカルブレーキノブに段差が出来た状態で19アンタレスを使用することになります。気になる人は気になるかもしれません。
メカニカルブレーキノブが外れたら地獄
19アンタレスを購入したら真っ先にメカニカルブレーキノブを外しましょう。19アンタレスのメカニカルブレーキノブがいかに不親切な作りになっているか知るために。
19アンタレスのメカニカルブレーキノブは一度外すと付け直すのが困難です。少なくとも最初は。
なぜなら最初は「適当にやっててもメカニカルブレーキノブくらい取り付けられるだろう」という安易な気持ちでメカニカルブレーキノブを外してしまうからです。
そんな安易な気持ちなままだとドラグが最大に締められている状態なのにもかかわらずメカニカルブレーキノブを取り付けようとしてしまいます。それが最大の罠です。
メカニカルブレーキノブが少しでも斜めの状態になっていると、メカニカルブレーキノブがハンドルとスタードラグの間に挟まってしまい、メカニカルブレーキノブが外せなくなるのです。
本来は水平に取り付ける必要がありますが、これがとても難しい。従来のシマノのベイトリールに付いているメカニカルブレーキノブの方が断然簡単です。
挟まってしまったメカニカルブレーキノブは無理矢理外すしかないわけですから、力を思い切り使ってハンドルを回すしかありません。そうするとメカニカルブレーキノブにうっすらと傷が出来ます。
購入したばかりなのに傷が出来てしまいます。最悪です。19アンタレスを購入する予定がある人や、分解してメンテナンスする人は気をつけた方がいいです。
外部ダイアルの調整が分かりづらい
19アンタレスは外部ダイアルと内部ブレーキシューを調整することで細かくブレーキ設定が出来るようになっています。
ただ、外部ダイアルの調整が少し分かりづらいです。一目盛りブレーキを強く設定しても「ちゃんと設定できた」感が無いのです。
詳しく言うと外部ダイアルを調整してもカチカチならないので、「あれ?設定できたかな?」と不安になり、いちいち外部ダイアル部分を見る必要があり面倒なのです。
18アンタレスDC MDなら外部ダイアルを動かすと「カチカチ」とほんの少し音がなり、一目盛り動かしただけでダイアル部分がしっかり止まるので調整できた感があります。
しかし19アンタレスの場合は外部ダイアルを調整してもダイアル部分(指でつまむところ)が「スルスル」と移動してしまうのでブレーキを調整できたどうか心配になってしまい、それがほんの少しストレスになって気持ちよく釣りが出来ない要因の一つになってしまっています。
本当に些細なことですが、やはりこれも気になる人は気になる点でしょう。これもまた慣れが必要です。
良いところ
巻き心地が最高
19アンタレスの最も優れているところは巻き心地の良さです。一生ハンドルを回していたくなるようなシルキーな巻き心地です。(ただし当たり個体を引き当てた場合に限る)
クランクベイトやスピナーベイトといった巻物系ルアーをガンガン巻きたくなるようなリールです。こころなしか18アンタレスDC MDよりも巻き感が良い気がします。
ただ、はっきり言って19カルカッタコンクエストDCの方が巻き感は上です。あくまでも個人の感覚ですが巻き感の気持ちよさに順位を付けると「19カルコン > 19アンタレス ≧ 18アンタレスDC MD > 17スコーピオンDC > 19タトゥーラTW」となります。
軽いルアーが本当に良く飛ぶ
19アンタレスを使用して一番驚いたのは、軽いルアーが明らかに他のリールよりも飛距離が出る点です。
7~10gほどのルアーを投げた時の飛距離には感動します。17スコーピオンDCとは比べ物になりません。
5gほどのシャッドは10~15mほど飛びます。スピニングリールやベイトフィネスリールと比べたら全然飛距離はでませんが、野池の小場所で使うなら十分な飛距離です。
良くも悪くもないところ
ビッグベイトをガンガン投げるならアンタレスDCMD
ビッグベイトを快適に投げられるのは間違いなく18アンタレスDC MDの方です。19アンタレスでも投げられなくはないですが、DCブレーキが搭載されている18アンタレスDC MDの方が明らかに使っていて気持ちがいいです。
大きなリップの付いたビッグベイトの場合、ハンドル長が長い方が疲れずに巻けます。19アンタレスだとハンドル長が18アンタレスDC MDと比較して少し短いので、18アンタレスDC MDを1年以上使っている身としては使いづらく感じます。
リールの自重が比較的重め
34mm径のスプールを搭載している割に19アンタレスは自重が220gと他のリールと比較して重めです。
ただ、別に220gという重さはメリットでもデメリットにも感じません。どちらかというと220gくらいがベストかもしれないように感じます。ルアーをキャストする際に手元が安定する感覚があるので。
ただ、腕力のない小学生や女性には少し扱いが難しいかもしれません(鍛えている小学生や女性は別)。
やっぱりDCブレーキの方がいい
「やっぱりDCブレーキ搭載の方がいいなぁ」と思ったのが正直なところです。
SVSインフィニティブレーキを搭載したベイトリールは初めて使ってみたのですが、糸が放出される時にスプールを軽く押さえないとバックラッシュを起こしてしまう場面が多々あり、DCブレーキに慣れきっている身としては使いづらさを感じました。
改めてDCブレーキやマグネットブレーキの凄さを思い知らされました。SVSインフィニティブレーキに慣れるまで少し時間が掛かりそうです。
まとめ:巻き感は最高クラス、軽いルアーから重いルアーまで扱える万能リール
- 軽いルアーが本当によく飛ぶ
- 巻き感が最高
- メカニカルブレーキノブは外さない方がいい
個人的はDCブレーキを搭載してもらいたかったところですが、SVSインフィニティブレーキに慣れている人にはすぐに問題なく扱えると思います。
巻き感が本当に優れているので、クランクベイトやミノー、スピナーベイトといった巻物ルアーを気持ちよくガンガン巻きたいならアリでしょう。ただしビッグベイトばかり投げる予定の人には19アンタレスはおすすめしません。
19アンタレスは、他のレビューやインプレでは過剰に「おすすめ」されているリールですが、凄いのは巻き感と軽いルアーが飛ぶ二点のみです。他の部分は特に褒めるべき点はありません。でも鏡面デザインは確かにかっこいいかも…。
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タイミングが良いと通常の10倍以上のTポイントが付与されます。貯めたTポイントはヤフオク等で利用できるので、「Yahoo!ショッピングでポイントをガツンと貯めて、ヤフオクで中古ルアーを買いまくる」といったことが可能になります。